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ベトナム株・不動産バブルは本物か?

  • 執筆者の写真: 宜生 玉田
    宜生 玉田
  • 11月7日
  • 読了時間: 4分
vinhomes central partk
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地政学・グローバル経済・政治の観点から徹底分析



序論:過熱するベトナム市場の実像

近年、ベトナム株式市場や不動産市場が急騰し、「バブルではないか」という議論が高まっている。特に**ビンファースト(VinFast)を中心としたヴィングループ(Vingroup)**の大型都市開発や、外資の不動産投資が市場を牽引している。しかしこの上昇は持続的成長のサインなのか、それとも一過性の過熱なのか。地政学・グローバル経済・政治・地域経済の各視点から多角的に分析する。

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地政学的要因:東南アジアのハブとしての位置付け

ベトナムは中国とASEANの中間に位置する戦略的拠点であり、米中対立の長期化の中で「チャイナ・プラスワン」の代表格として製造拠点移転が進む。サムスン、アップル、インテル、LGなどの世界的企業が生産ラインを構築し、工業団地の土地需要が急増。不動産価格上昇を支える主要因となっている。一方で、開発が外資主導で進む結果、地元住民の所得水準との乖離が拡大している点は見逃せない。

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チャイナ+1
チャイナ+1

グローバル経済的要因:資金流入と通貨安リスク

欧米や日本の低金利による余剰資金がベトナム市場へ流入し、金融資産や不動産価格が実体経済以上に膨張している。ベトナムドンは管理相場制の下にあるが、ドル高局面では輸入コスト上昇や建設資材の高騰を招き、企業の負担を増大させている。ホーチミンやハノイでは年収の数十倍の住宅価格が常態化し、実需よりも投機的需要が主導している。

ホーチミン証券取引所
ホーチミン証券取引所

政治的要因:安定政権と国家主導の成長モデル

共産党一党体制の下で政治的安定を維持し、外国投資家にとって予測可能性の高い環境を提供。国家主導でのインフラ整備(高速道路・鉄道・工業団地)が景気を底支えしているが、同時に汚職摘発や開発許可の厳格化により、一部デベロッパーが資金難に陥るケースも増加。開発のスピードと統制のバランスが今後の課題となっている。

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ビンファーストに見る「象徴と現実」

ビンファースト(VinFast)は、ベトナム産業の象徴であり、国家的ブランドを背負う存在だ。EV(電気自動車)開発を軸に、製造業からインフラ、不動産、エネルギーまで多角化し、「国産技術の誇り」を掲げている。ただしその実態は、政府支援と巨額の外部資金に依存した“国家的ベンチャー”に近く、収益基盤はまだ安定していない。IPO後の株価乱高下に見られるように、投資マネーが象徴的企業に集中する一方、地場中小企業やサプライヤーへの波及効果は限定的である。

ビンファースト社
ビンファースト社

小規模経済への波及:地方の実情

ビンファーストのような大型プロジェクトは、雇用創出やインフラ整備を通じて一時的に地方経済を潤すが、地域に根付く中小企業の競争力向上や技術移転には結び付きにくい。工業団地の建設による一部雇用は生まれるものの、現地での部品調達率はまだ低く、外資系企業による“外からの経済”が中心である。また、都市周辺の地価高騰が生活コストを押し上げ、低所得層の購買力をむしろ圧迫する側面もある。その意味で、現在のベトナム経済は「トップダウンの成長」と「ボトムアップの停滞」が並存する構造といえる。

地方バクニン省
地方バクニン省

誰が市場を支えているのか

現状、市場の中心は一般消費者ではなく、大手企業・富裕層・外国ファンドだ。2023年以降の景気減速と金利上昇により、個人需要は減退する一方で、大手資本がバーゲン的に資産を買い漁る動きが目立つ。多くの「好調な取引」は実需ではなく、企業間の資産移転に過ぎず、健全な市場形成には至っていない。

kohlberg kravis roberts
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シンガポール政府系投資機関
シンガポール政府系投資機関

今後の見通し:バブル崩壊か構造転換か

過熱感は否めないが、製造業の拡張、観光業の復活、人口ボーナス期など、実体経済の成長余地は依然として大きい。短期的には資金過熱・住宅ローン負担・為替リスクが懸念され、調整局面入りの可能性があるが、中長期的には構造的な転換期とみられる。もし2025年以降にグローバル景気が後退すれば、最初に影響を受けるのはベトナムのような新興市場だろう。

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結論:バブルではなく「再構築期」

ベトナム不動産・株式市場は崩壊寸前のバブルではなく、経済構造の再構築期にある。資金の偏りや投機マネー、外国依存といった課題を抱えながらも、地政学的優位性と人口動態が中長期的な底力を支えている。そして、ビンファーストに代表される“象徴的な成功”が、どれだけ地域経済や中小企業へ波及できるかが、次の成長段階を決める分岐点となる.

ベトナムの路線沿いローカル
ベトナムの路線沿いローカル

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