ベトナムブラウンフィールド2025

■～ 経済の二面性と新興都市ダナンの魅力～

　ベトナムの都市、特にダナンは、その魅力的な観光地としての顔だけでなく、経済的潜在能力を秘めた地域として注目されています。

ダナンにおけるコーヒー文化は、ベトナム全体のコーヒー市場を反映しており、ホーチミンやハノイではコーヒー1杯あたり約45,000VNDで提供されているのに対し、ダナンでは35,000VNDという手頃な価格で楽しむことができます。過去5年間で、ダナンのコーヒー価格は29,000VNDから約20.69%上昇しましたが、これは観光需要や生活費の上昇を背景にしたものです。

#### 交通費のコスト比較

インフラ確保が急務となる中、ダナンの交通費はハノイやホーチミンの約2倍に達しており、この要因は急激に観光地化が進んでいることに起因しています。観光客向けのタクシーやシクロ(ベトナムの人力車)の料金が高く設定されているため、アクセスコストの増加は明白です。例えば、市内からビーチエリアやゴルフコースに向かう際の移動費は、一業種の成長に寄与しています。

#### タクシー運転手の月収と手取りの推測

　ダナン市のGRABタクシー運転手は、月に日本円に換算して約30万円を稼ぐものの、ガソリン代や維持費を差し引くと手取りは約15万円にとどまります。具体的な計算では、リッター当たり24,000VNDのガソリンを消費し、運転距離が1日50キロメートルの場合、1か月で約1,728,000VNDが必要となります。このような生活を通じて、ダナンの経済実態を深く理解することが求められます。

#### ホイアンのシクロビジネスと利回り

ホイアンでは、シクロの乗り入れ権が約500万円で取引されており、供給の制限が収益性を高めています。1日の給料が約200,000VNDで想定すると、年間360万円の収益を期待でき、約1年4ヶ月で投資回収可能という高い利回り（年率72%）を示しています。

　しかし、成功には政府関係者との強固な関係や手続き面でのコネクションが不可欠である点も留意すべきです。

シクロはほんの一例で利回りに対して、プロジェクト以前の課題が外国人投資家には常に付きまとい、各タスクのリードタイムだけでなく、状況判断、またそれらに対する妥協点を解釈することが、外国人投資家にとって何より最大のミッションに挙げられます。

■ 田舎の人々の生活と生計

ベトナムの田舎の人々は、オールマイティな人材としてさまざまなスキルを駆使し、自給自足を基にした生活を営んでいます。彼らの中には一人の管理者で林業、農業、建築、盆栽、物流、生産、そしてその他の管理タスクまでをすべて手掛ける多才な人材も存在します。

　外国人観光客にとって、時には彼らの生計面が気になります。

彼らの具体的な生産物としては、お米、コーヒーやお茶、バナナ、パイナップルなどの多様なフルーツ、ハーブ、野菜、ハチミツまたパルプなどがあり、これらは地元市場や観光客に販売されることで生計を支えています。

田舎の暮らしは外部からの視点では見えにくい部分も多いですが、実際には強いコミュニティと多様な生態系が存在しています。

■ 経済活動の異なる二様相

日本とベトナムの経済活動には明確な違いがあります。

ベトナムの労働者は、サービス業や建設業、不動産業などの分野で個人事業主として活動する割合が高く、約40%が個人経営者としての形を取っています。対照的に、日本のこの割合は約10%に過ぎず、多様なビジネスモデルと自らテクノロジーやマーケットへの多様化の順応が求められる状況にあります。

　特に2010年以降、海外留学の帰国組によるITオフショアやBPOの個人事業主の都心部での立ち上げは目まぐるしく、昨今のニュースで取り上げらる様なネガティブな印象とは程遠いクレバーでドライなベトナム人も多い。

　それらの調査や状況判断が甘く、一部の日系企業によるベトナムのアプローチは非常に懸念されている。

#### ブラウンフィールドの価値

このように、田舎の人々とのタイアップは、地域資源を最大限に活用し、新しい製品展開や市場創出へと繋がります。地元農作物や技術の提供を通じて、地域経済の持続的な成長に寄与することが可能です。

#### ESGの観点から見た可能性

ESG（環境・社会・ガバナンス）の視点から、地域との協力は重要な意義を持ちます。

環境への配慮や社会的責任を意識したビジネスは、持続可能で豊かな未来を築くための基盤となります。また、透明性あるガバナンスにより、地域社会との信頼も生まれます。

■最後に

ダナンやその周辺地域は、観光地としての魅力だけでなく、地域経済の発展に寄与できる要素に満ちています。これらを理解し、積極的に関与することで、ビジネスリーダーや投資家は新たな市場機会や現地パートナーを探し、持続可能な未来を共に築く可能性が大いに存在し、富裕層やビジネスリーダーにとって新たなビジネスチャンスが広がっています。